「まちづくり」の可能性と問題点

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2012.11.18
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地域振興班ー東京大学 冬学期「ソーシャルビジネスのためのチームビルディング」ゼミー

東京大学教養学部の冬学期のゼミ、「ソーシャルビジネスのためのチームビルディング」の地域振興班のグループ

少子高齢化に伴う過疎化や、ライフスタイルの変化に伴う商店街のシャッター街化、限界集落や買い物弱者、医療の隙間、農業・林業の衰退、雇用問題、待機児童の増加、空家の増加、耕作放棄地の増加・・・現在、地域に根ざした社会問題はそれぞれに絡み合い、複雑化しています。予算を取ってハコモノをぽんと作れば解決する時代は終わりました。
それぞれの地域の持つ問題と長所を明確に把握し、それぞれの問題のつながりを分析して、それに合わせた地域デザインを生みだすこと。
地域の抱える問題をまとめて解決する新しいアイデアが必要とされています。

しかしながら、全国にはまちづくりの失敗例が多々あります。まちづくりの持つ問題点と可能性を考えていきます。


失敗例

 この項ではまちづくりに失敗した例を取り上げ、何が欠けていたから失敗したのかを探りたいと思います。なお、この項を書くに当たって、久繁哲之介著「地域再生化の罠」(ちくま新書)を参照させていただきました。

 今回は島根県出雲市の中町商店街を紹介します。現在も典型的なシャッター街として知られるまちです。しかし、このまちにも地域活性化の取り組みが存在しました。いったいどんな取り組みだったのか、そしてなぜ失敗したのか、見ていきましょう。

 かつて、空き店舗が埋まらないことに頭を悩ませていた中町商店街の人々が採用したのが「ゆめしょっぷ」という制度でした。これは商店街の空き店舗を開業したい市民に貸し出す制度で、出店者には専門家による経営指導や賃料の一部補助などがある、というものです。
 一見画期的な取り組みに思えますが、実際にこの制度を活用して店を出す市民はあまり集まりませんでした。市民側からしてみれば、いくら行政の補助があるとは言え、

 「お店は出したいけど、初期投資などのリスクを取るのが怖い……」
 「現在の収入を犠牲にするほどの余裕はないから、時間とカネが確保できない」

などなど、たとえ興味があっても、お店を出すのはまだまだハードルが高いままだったのです。
 逆に考えれば、「他の収入源は確保したまま」「短時間で」できるならば、より気軽に出店できるのではないか?そう考えた久繁氏が提案したのが、「日替わりテント制」でした。これは、ひとつの空き店舗でも日ごとに違う出店者に貸し出すという制度で、出店希望者も手軽にお店を出せ、消費者も色々なお店が楽しめるという、市民にとって一石二鳥の制度だと言えます。
 しかし、久繁氏が提言したどの自治体も、この制度の導入には渋りました。

 「日替わりでテナントが替わるのは管理が大変……」
 「週6日は開業していてくれないと困る……」

というのが自治体の言い分でした。この主張は、行政がまちづくりのために手間やリスクを取る気がないことを示しています。
 先ほども示した通り、ゆめしょっぷは出店者がいさえすれば出店希望者にとっても消費者にとっても希望が叶えられる貴重な地域資源に育ちうる制度です。そのようなゆめしょっぷが躓いてしまったのは、中町商店街に日替わりテナント制が提案されたかどうかは久繁氏の著書に直接の記述はなかったものの、同様に行政が手間とリスクを惜しんだからだと推測することが出来ます。
 このように、地域資源が存在しても、行政の怠慢などの障害があるせいで市民がそれにアクセスできない、というのがまちづくりの失敗の原因になる、という例が多いようです。


古月 瑛の投稿

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