6施設に1施設が医師不足! ーへき地医療の現状ー

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2013.06.04
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いちへい

 近年へき地の医者不足問題が顕在化している。医療法施行規則第19条では各医療機関に必要な医師数(標準医師数)が定められているが、厚生労働省の試算によると、へき地医療拠点病院においては 263 施設中44 施設(16.7%)が、へき地診療所中においては418 か所中69 か所(16.5%)が標準医師数を満たしていない状況にあることが判明した。この問題がもっとも深刻化したのが「無医村」または「無医地区」状態である。
 
しかし医師不足は最近になって急に出現した傾向ではない。かねてより医師は都市部に集中していたし、へき地には人数が少なかった。へき地の医療への関心が高まっているのは、「近年へき地において急速な高齢化が進んだことで、病院にかかる人が急増した。そして医師が偏在しているという構造的な問題が顕在化し、結果として人々の問題意識が高まった」という方が正確だろう。また、実はへき地の数自体は減少している。平成11年に914あった無医地区は、平成16年に787になった。
 
それでは、現在の医者の偏在問題やへき地の医者不足を軽視してよいのかというと、そういうわけでは決してない。というのも、へき地はトータルとしては減少しているものの、138の減少に対して56の増加を含んでいるためだ。すなわち、どこかの無医地区の医療事情を改善しようと注力する間にも、どんどん新たな無医地区が生まれてしまいキリがない状況なのである。また無医村地区は、「医療機関のない地域で,概ね半径4kmの区域内に50人以上が居住する地区」と定義されているため、50人に満たなくなってしまった地区は統計から外れてしまうのである。統計によると、無医村地区の減少分の4分の1はこのような「医療環境は改善されていないのに無医村の定義から外れただけの」地区なのである。また新研修医制度の導入によって、若手の医師をへき地に送り込むことが困難になっているという問題もある(後述)

 このような現状を頭に入れつつ、無医地区がなくならない原因を見てみよう。

【無医地区がなくならない原因】
~制度的問題~
・市場第一主義的な政策によって、採算の合わないへき地の医療に十分な予算が配分されない。
・大学病院においては、従来研修医は医局の労働力としてみなされ、医局がへき地に研修医を送り込んでいた。しかし厚生労働省が2004年に導入した新研修医制度導入によって医局に所属する研修医が激減し、へき地に若手医師を送り込むことが困難になった。
・市町村合併によって高齢化率が統計上減少し、地方医療の重要性が軽視されがちになった。
・へき地は基本的に交通が不便であるため、近隣の医療機関に通うことが容易ではない。また医師としても、交通が不便な地域への赴任は敬遠しがちになる。

~医療現場の問題~
・人口減少により、民間診療所の場合は採算が取れなくなってきた。また患者の減少により、診療所に勤務している医師のやりがいが低下している。
・医師の中では、生活が不便なへき地よりも、都市部での勤務のぞむ根強い傾向がある。
・さらに、経営の安定しない診療所よりも、経営が安定し食いっぱぐれの無い大病院を志向する傾向も根強い
・医師の世界では専門医の方が高く評価される傾向があるため、地域の診療所に勤務するようなプライマリケア医が軽視されがちである。
・一人の医師がすべての診療をこなすため、基本的にへき地医療は休める時間が少なく過酷である。
・また一人で全責任を負わなければならず心労も大きい。

~地域の問題~
・へき地の自治体・住民・患者が赴任してきた医師に対して理解を示していない場合が多い

無医村地区がなくならない背景には、このような様々な問題が絡んでいる。


無医村地区減少理由

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