地方行政の行く末

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2013.06.19
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Hiroki Neichi

官と民の役割って一体何だろう??

田舎に住んでいるとそんなことを考えずにはいられないケースが多々ある。

そもそも行政サービスは利潤を生み出す活動になり得るか??

このことを考えるために少し事例を紹介したい。


人口約2万人、農業従事者約7割、主要産業は果樹と畑作が主たる農業というA県N町は古くからグリーン・ツーリズム(以下G・T)、中でも農家民泊(※注1)に力を入れ、教育旅行をターゲットに一時期は年間2,500人あまりを受け入れてきた。
その後、全国的に農業体験のような形態のG・Tがはやり始め、九州や東北、信州など各地で農業体験が急増。競合地域が増えてきたことから、N町の受け入れは減少傾向になり、行政サイドはG・Tの民営化を検討し、町内のNPO法人に業務運営を移譲する動きを見せている。

ところが、ここに大きな問題点が。

行政サイドで行ってきた1泊2日の体験料金は、ここでは仮に7,000円とすると、この料金から宿泊者の保険代金を引いた分が農家に支払われる。保険代金は1人当たり500円程度と考えれば農家の収入は6,500円程度だろうか。
さて、NPO法人へ移譲した場合、この料金設定で運営が可能か??

ご察しの通り、「否」である。
いくらNPO法人が非営利活動団体とはいえ、人件費、諸経費、消耗品費などが必ず必要だからだ。

NPO法人的には料金改定を検討したいところだが、これまでN町を訪れていた学校にとって値上げは深刻な問題。「運営がNPO法人に移ったので」では説明が済まされない。結果として、‘常連’すらも失いつつあり、農家側からは「行政で面倒を見てもらうほうが良い」との反発の声も多い。


おそらく、過疎化や高齢化を迎えている地方の農村ほど、同じような悩みは多いはずだ。
N町のケースだけでなく、近隣の町村でも行政側が民間に事業を移譲するケースが目立つようになってきた。観光協会、農業団体、福祉団体など・・・。

ある町の農業団体では、町の特産品を使った製菓を販売しているが、パッケージはすべて行政サイドが作製。この農業団体が優先的に活用していた。しかし、町の事業が終わると同時に、パッケージ作製も農業団体で行うことに。苦渋の選択で商品の値上げを行ったところ、クレームが相次いだ。


行政サービスは、‘無償’が原則のサービスだ。当然ながら公務員の業務のため、原価率や人件費、損益分岐点などは価格設定に盛り込まれていない。事業をはじめた時には民間委託の可能性など検討もしていないだろう。

地方に行けばいくほど、民間企業の衰退は色濃く、行政サイドが産業を活性化させようと躍起になり、住民を裏切る結果を導くこともある。

そもそも官と民は同じ土俵で戦って良いのだろうか?

いかにして、官と民がそれぞれの役割を果たしていくか-。
今、地方に突きつけられた課題ではないだろうか。

※注1
農家の自宅に滞在し、農作業や郷土料理づくりなどの体験を行う宿泊


※注1 農家民泊

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Hiroki Neichi


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