サッカー日本代表がブラジルワールドカップ本戦への出場を決め、日本中が歓喜に沸く中、物々しい雰囲気に包まれた場所があった。渋谷のスクランブル交差点である。この交差点は、日本代表の試合があるたびに、興奮したサポーターたちがお祭り騒ぎをする場所だった。しかし信号が緑の時はもちろん、赤に変わった後もそのまま交差点内で騒ぎ続けるサポーターが多く、交通の大きな障害となっていた。そこで、警察はこの試合に際して、渋谷スクランブル交差点のななめ横断を規制する厳戒態勢を敷いた。
この警察の対応に対して、試合前にサポーターから多くの不満がSNSなどに寄せられており、その場の雰囲気は一触即発ムードだったことがわかる。試合が盛り上がっていくにつれ、無理やりななめ横断をしたり、赤信号にもかかわらず交差点内で騒ぎ続けようとして、警察に取り押さえられるサポーターも出始めていた。
そんな時この状況を救ったのが、拡声器を使って交通整理をした一人の若手警察官だった。彼は実力行使にでることなく、言葉一つで興奮したサポーターを完璧に誘導したのである。この巧みな話術で交通整理を行う警察官はツイッターでたちまち話題となり、気づけば「DJポリス」という親しみと尊敬をこめた名前が自然につけられていた。この警察官は一躍日本のヒーローとなったのである。
この記事では、いかにしてこの『DJポリス』が交通誘導を行ったか、そしてこの『DJポリス』が誕生する裏側にあった警察の苦い経験についてまとめ、警察の交通整理がどのように進化しているかを紹介する。
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