高校野球の投手酷使問題~球数制限を設けるべきかどうか~

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2013.08.21
A
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いちへい

 毎日テレビを賑わせている甲子園。高校球児のひたむきに頑張る姿は、試合を観ている側にも爽やかな感動を与えてくれるものだ。

 しかし、炎天下のもとで長時間試合を続けることは、身体のできていない高校球児にとってはかなり過酷な行為である。中でも投手に関しては、試合日程の関係上ほとんど毎日のように連投させられることも少なくない。よほど部員数の多い名門校でなければ、控えのピッチャーがいないか投手層が薄いため、エースがたった一人で投げ続けなければならないからである。
 
 チームのために身体を酷使した投手が肩やひじを壊し、選手生命を絶たれてしまうことは、野球界全体の損失にもなり、また投手自身の人生そのものを変えてしまうことになりかねない。そのため、近年話題になっているのが「球数制限」である。これは、一試合で一人の投手が投げられる球数をあらかじめ決めておき、制限球数になったとき投手交代をするという制度である。これによって負担が一人の投手に集中してしまうことを避けられるというわけだ。実際にアメリカでは、「肩は消耗品」という考え方が一般的であり、高校生が連投させられることはない。あのメジャーリーグでさえも、先発投手は100球程度で交代させられるように管理されている。
 
 しかし、球数制限制度は議論には上がるものの、なかなか日本球界に導入されない。というのも、現場の指導者や元選手から強い反対意見があるからだ。どのような意見があるかというと、「多くの球児にとって野球ができるのは高校までである。強硬球児にとっては目の前の試合に勝つことがすべてなのである。だから球数制限で彼らを止めることは適切ではない」とか「球数制限を設けてしまうと一試合に何人もの投手が必要になってしまう。それで厚い投手層を擁する有名校がますます有利になってしまう」というものだ。高校球児の中にも、このような意見を持つ人も一定数は確実に存在しているだろう。
 
 この記事では、球数制限を設けるべきか/設けるべきでないのかについて、あえて明言しないようにする。そのかわりに、導入賛成側と導入反対側にはどのような意見があり、議論にはどのような論点があるのかを紹介し、この記事を読んだみなさんが球数制限について考えるための一助にしたい。
 


甲子園での球数ランキング

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