リサイクル資源ペットボトルの獲得戦争~日本に忍び寄る中国の影~

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2013.09.06
C
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いちへい

 日本には容器リサイクル法という法律が存在し、一定の条件を満たす容器製造業者には、市町村が集めた資源をリサイクルすることが義務付けられている。資源の枯渇や環境問題の深刻化が課題となっている現代においては、とても重要な位置を占める法律である。同法では、ガラスビン、ペットボトル、紙容器包装(紙トレー)、プラスチック製容器包装(食品トレー)、アルミ缶、スチール缶、紙パック、段ボールの8種類が分別回収の対象になっているが、アルミ缶以下4資源に関しては、すでにリサイクル技術が確立されおり、資源も効果で取引されているため、リサイクルの義務付け対象ではない。よって、リサイクルが製造業者に義務付けられているのは、ガラスビン、ペットボトル、紙トレー、食品トレーの4種類になる。

 この中でも、現在特に価値が高まっているのがペットボトル資源である。ペットボトルは、PET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)という原油由来の原料から作られる容器であり、原油が高騰している昨今では資源としての価値が高まっている。そのため、ペットボトルを再利用していくことは、日本のPET樹脂の海外依存度を低く抑える効果があり、外交上も非常に重要なのである。

 容器のリサイクルを推進する経済産業省・環境省のPRもあり、ペットボトルのリサイクルは回収率・回収量ともに上昇を続けている。2012年には回収率は85%に達した。また事業者からしても、効率の良いリサイクルができれば高い利益率を上げることができる。そのため、ペットボトルのリサイクル技術は近年目覚ましい成長を遂げている。従来は難しいとされてきたボトルtoボトル(ペットボトルをペットボトルとして再商品化すること)、ボトルtoトレー(ペットボトルを食品トレーに再商品化すること)技術も実用化の段階に入っている。

 しかし現在、日本で回収されるペットボトル資源を虎視眈々と狙っている国がある。急速な発展により資源の安定的確保が急務になっている中国である。中国は、日本の市町村に対して、市場価格の数倍の価格を提示して回収ペットボトルの買い上げを行っている。もちろん市町村が中国にペットボトルを横流しすることは、「限りある資源を日本国内で循環させる」という容器リサイクル法の理念に反している。しかし、慢性的な財源が不足している地方自治体にとって、高い金額でペットボトルを買い取ってくれる中国は魅力的な存在だろう。環境省は2013年度から、横流しをする自治体を公表すると発表しているが、それでも明確な罰則規定がないため中国への資源流出は止まっていない。

 では、どうすれば日本が国内のペットボトル資源を守っていけるのだろうか。それには、効率の良い回収網・高い技術力の育成が絶対的に必要である。それらによってリサイクルコストを下げることができれば、高値で買い取ろうとする中国に金額でも対抗できるからである。また、事業者へのリサイクルへのインセンティブを高めていくような制度作りも必要だ。リサイクルを積極的に推進する事業者への税制優遇や補助金などを定め、より高水準のリサイクルチェーンを構築していかなければならない。

 中国が経済発展を遂げ資源の需要をさらに高めていけば、リサイクル資源の獲得競争がより一層激化することは間違いない。ペットボトルだけでなく、食品トレーやガラスビンにまで飛び火していくかもしれない。そうなったときに、日本が中国に負けずにリサイクル資源を確保していけるように、このペットボトル獲得競争での日本の対応は、今後の戦況を占う試金石となるだろう。


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