理想と現実 現実に生きる

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2014.08.11
Kk
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takeshi noda

 最近「現実はそんなに甘くない」とか、「現実を見ろ」と言う人が多い。集団的自衛権の話になると必ずといっていいほど「現実に差し迫った脅威」、「現実的に考えろ」といったような言葉で反対派の平和主義をなじるような言動が見られる。つまり、平和主義のような武装放棄などという理想を謳っていてはやっていけないということだ。彼ら現実主義者にとっては、理想主義者の頭の中は「お花畑」で「平和ボケ」なのである。

 さてさて。実はこのように主張する現実主義者自体が非現実的だと言ったら読者の方は驚くだろうか。今回のコラムは理想と現実についてである。

 憲法解釈変更による政府の集団的自衛権行使容認は日本に衝撃を与えた。官邸前の大規模なデモだけでなく新宿の焼身自殺はいかに、この憲法解釈変更が大きな影響力を持っているかを示している。会見で安倍首相は何度も現実という言葉を使用した。彼はこう言う。

 「集団的自衛権が現行憲法の下で認められるのか。そうした抽象的、観念的な 議論ではありません。”現実”に起こり得る事態において国民の命と平和な暮ら しを守るため、現行憲法の下で何をなすべきかという議論であります。」

 そして記者の質問に対してもこう答えている。

 「今回の閣議決定は、”現実”に起こり得る事態において、国民の命と平和な暮 らしを守ることを目的としたものであります。」

 なるほど安倍首相は現実を見据えた平和を追及しようとしている。ただ武装放棄という理想を語る平和主義者よりはよっぽど合理的だ。しかし本当にそうであろうか?彼らは大事なものを見落としているのではないか?

 集団的自衛権と切っても切り離せないのが沖縄米軍基地問題である。集団的自衛権行使において米国が同盟国の一つになることは明白だからである。米軍基地維持は同盟国になるはずであろう米国との軍事関係の強化において必須だ。しかし、沖縄の米軍基地が沖縄の人々に強いている負担はどういったものであっただろうか。それは沖縄米軍少女暴行事件に始まり、沖国大米軍ヘリ墜落事件、新嘉手納基地爆音訴訟、など、沖縄の人々の生活を脅かしてきただけではなく最近では名護市でのジュゴン訴訟 1など沖縄の美しい環境までも米軍基地は犠牲にしようとしている。

 そのような状況に反対する沖縄の人々を見て現実主義者は「現実を見ろ」と一蹴する。しかし現実は一面的ではない。多面的である。つまり、中国の軍事強化も現実だが、それと同時に沖縄の人々の生活が米軍基地によって脅かされているのも現実である。そのような沖縄の現実を無視して集団的自衛権を一方的に行使しようとする安倍首相は果たして現実的なのであろうか。むしろそのような自分に都合の悪い現実を無視して都合の良い現実のみを強調する彼らこそが理想主義者ではないのか。実は、現実を見ていないのは現実主義者のほうなのだ。

 我々は様々な現実の中に生きている。中国の脅威という現実もあるし、沖縄の人々が沖縄米軍基地の負担に耐えなくてはいけないという現実もある。現実に生きるということはその中から自分に都合のいい現実を選び取ることではない。これら全ての現実と向き合うことなのだ。

 あなたは現実に生きる勇気を持てますか?

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1 ジュゴン訴訟とは名護市基地移設において天然記念動物でもある名護市のジュゴン保護を争点とした訴訟。日本、アメリカの環境団体が米軍に提訴をした。米軍基地の環境破壊の深刻さをあらわにしただけでなく、自然動物が原告となっている「自然の権利」訴訟という点でもジュゴン訴訟は注目を集めている訴訟である。


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