第2回 「院内学級はどんな授業をするのか?」

病気やけがの子どもにもっと学びを―― 知られざる教育格差問題に迫る ※全4回
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院内学級の専門家である赫多久美子先生にインタビューするシリーズ。
前回 (http://trapro.jp/articles/523) は、いわゆる院内学級の仕組みを紹介した。2回目は、院内学級に通うことのなった子どもが、どのような学校生活を送るのかを中心に話をうかがった。院内学級に通う子どもたちは病院の中で十分に学べる学校生活を送っているのだろうか?

第1回「病気やけがの子どもにもっと学びを――知られざる教育格差問題に迫る」 ※全4回構成(http://www.trapro.jp/articles/523)

第3回 「院内学級には、病気の子に対して想像力を持てる教師にきてほしい」(http://www.trapro.jp/articles/525)

最終回「院内学級が希望を与える場所であり続けるには」
http://trapro.jp/articles/539)
この記事の読了時間:約7分
2015.12.23

学びの機会が必要なのは入院中の子どもだけではない

 

――院内学級の子どもにはどんな子どもが在籍しているのでしょうか?

赫多:病院には、1ヶ月、半年以上の入院治療が必要な子どももいれば、骨折や簡単な手術などで1週間だけ入院する子どももいます。ただし前回もお話ししたように、入院している学齢期の子どもの全てが、いわゆる院内学級に学籍を移すわけではありません。院内学級というと、長期入院の子を対象とすると想像するかもしれませんが、短期間の入院でも学習の機会を補償することは大事なんですよ。基本的には入院している子どもが学ぶというのが原則ですが、退院後でも院内学級に通学しているケースもあります。

 

――入院している子どもだけではないのですね。なぜ退院した子どもでも院内学級に在籍しているのですか?

 

赫多:退院しても地元の学校に通えないケースが存在するからです。例えば、化学治療を受けた後の子どもは免疫が弱く、退院後も病気に感染しやすい状態が続くことがあります。また、しばらくは体力的に通常の学校の活動についていけないこともあります。その場合、学級の受け入れ態勢が整っていれば、一定期間は院内学級に通うことができる場合もあります。

 

――退院した子どもを気遣っているのですね。子どもたちの居場所としてよい場所になりそうですね!

 

赫多:ただ、教室や教員の人数配置によって、退院後の子どもを受け入れることが難しい学級も多いと思います。ある学校では院内学級への通学を受け入れる体制が整っているが、一方で、別の学校では院内学級に通学することができないという受け入れ体制に差があるのも事実です。したがって、籍を院内学級から入院前に在籍していた学校に戻しても、主治医の許可が下りずに、学校に通学できないまま3か月位、自宅で過ごすことになってしまう子どももいます。都道府県によっては、在宅療養中に特別支援学校の訪問学級に学籍を移して、在宅訪問授業を受けられる場合もありますが、残念ながらそのような制度が整っている地域は少ないと思います。

 

――教育を受けられる子どもと受けることができない子どもに分かれてしまうのですね…。

 

赫多:はい。大人でさえも病気で入院して治療を受けることはとてもストレスですよね。ましてや、子どもは尚さらです。痛い思いをすることもあります。自分の今までいたコミュニティから切り離されることで、心理的な葛藤が様々生まれます。そうした中で、いわゆる院内学級のようなコミュニティで教育を受けることが、本人の病気を治そうというモチベーションにつながります。院内学級の教員が元の学校と連絡を取り合って、関係を絶やさないようにすることも、子どもの気持ちを前向きにする上で大事です。院内学級が単なる学習の場というだけでなく、子どもの心理面にもプラスの側面があることを、沢山の人に知っていただきたいと思っています。

院内学級の子どもたちにも多様な学びの機会を

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