自分で死に方を決める社会?

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2012.08.26
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Photo:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Katta-hosp-sickroom.jpg?uselang=ja
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菅健太郎

あなたが事故や病気で意識不明の重態となり、自分では呼吸も食事も出来なくなった時、限界までの延命治療を望みますか?安楽死はそんな時にあなたの死に方の一つとして、いま世界的に議論されている一つの医療行為です。医療が20世紀以降急速に発達し、それまでの死のあり方が変わったことを受け、今日では患者にとって望ましい死に方を考える上で重要な意味を持ちつつあります。世界的には欧州の福祉国家を中心に、安楽死を容認する方向で動いており、日本では2012年の国会において通称尊厳死法案上程への動きがありました。ここでは医事法・医療行政的な観点から安楽死を検討します。また、個人や家族のレベルでの死に対する向き合い方と関わる安楽死の側面についても考えたいです。


安楽死の定義


安楽死の定義について、まとめてみました。
<<死なせ方による分類>>
消極的安楽死・・・死に瀕した患者を、積極的には延命のための治療を行わないことにより、延命治療をした場合よりも早く患者は死を迎える(延命 治療の不開始・中止)。
積極的安楽死・・・死に至らせるような薬剤を用いるなどし、作為的に患者に死がもたらされた、または死期が早められた場合。致死薬の投与や処方、 苦痛を取り除く代わりに死期を早めるような薬剤の投与(セデーション=緩和行為の一部)などが含まれる。

<<死の決定プロセスによる分類>>
自発的安楽死・・・意識のある患者が自らのQOLを鑑みて、死を求めた場合。または、意識を失っていても以前に明確な意思表示をしており、それに 基づいて患者が死を求めていることが推定できた場合。
非自発的安楽死・・・患者が意思表示できる状態にない状況で死を決定した場合。家族など周囲の人間が患者の意思を推定する。
反自発的安楽死・・・患者の意思に反して、または患者の意思を顧みずに患者の死を決定した場合。医療現場ではまれに行われるほか、ナチスに代表さ れるような優生思想のもとで行われた「安楽死」もこれに含まれる。

上記2つの分類を組み合わせると考えやすいです。例えば、反自発的消極的安楽死=「患者の意思に反して延命治療をしないことによる安楽死」といった具合。そして、代表的な単語の意味はこんな感じで理解できます。
「尊厳死」・・・自発的消極的安楽死のこと。「尊厳死法案」で求められているものもこれに含まれる。
「自然死」・・・特に老衰などを意識して、医療的な行為を伴わないでなされる消極的安楽死のこと。
「慈悲殺」・・・激しい苦痛やQOLの著しい悪化を鑑みて行われる、非(反)自発的積極的安楽死のこと。
「医師による自殺幇助」・・・医師が致死薬を患者に処方することなどによってなされる自発的積極的安楽死のこと。
「(狭義の)安楽死」・・・積極的安楽死のこと。尊厳死と区別される場合、このような意味になる。

<清水哲郎[http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~shimizu/cleth-dls/euthanasia/euth-def.html ](2007)による分類を大枠として、適宜『臨床倫理学 臨床医学における倫理的決定のための実践的なア プローチ』 (第5版) (赤林朗,蔵田伸雄,児玉聡,訳) 新興医学出版社. [Jonsen, Siegler, & Winslade, (2006),pp.169-171]と『死をめぐる自己決定について―比較法的視座からの考察』 批評社.[五十子, (2008),pp. 65-67]も参照しながら作成した。具体的には,区分方法は清水に習い、定義付けに関しはその他の二者に大きく依った。>


在宅死から病院死へ

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菅健太郎


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