国連報告~少女売買春、ソーシャルメディアと搾取する男性側の問題点~

沖縄タイムス2016年1月12日記事
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「特に沖縄では児童の性的搾取が見られる」。2015年10月、日本の児童ポルノや児童売春の状況調査のため来日し、沖縄にも足を運んだ国連特別報告者のマオド・ド・ブーア・ブキッキオ氏は日本記者クラブでの会見でこう述べた。沖縄で一体、何が起きているのか。売買春に関わる少女や大人への取材から浮き彫りになった問題点をまとめた。
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2016.03.19
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夜の街を歩く女性(写真と本文は関係ありません)

 

■ソーシャルメディアと売買春の関係

 2013年8月、沖縄県警は18歳未満の少女13人を含む19人に客と淫行させた男3人を児童福祉法違反で逮捕した。男らは見知らぬ人との出会いが目的の「出会い系サイト」などで客を集め、沖縄や東北など約10県のホテルなどで少女たちに淫行させ、金を稼いでいた。管理型売買春である。

 売買春で欠かせないツールがSNSや出会い系などのソーシャルメディアだ。スマートフォンの普及によってチャットで交流することができるアプリやそのIDを交換するサイトが登場。警察庁によると、2015年上半期にSNSなどのコミュニティサイトで796人の少女が被害に遭っている。

 業者の男は少女のふりをして出会い系やSNSで客を募り、買春したい客はソーシャルメディア上で少女を探し、少女は業者から買春するよう連絡を受ける。業者から何度も買春させられてきた少女の中には業者のまねをして、直接ネット上に書き込み、客を募るケースもあった。

 

■ネットは問題か

沖縄県教育庁と県警は、管理型売買春事件を受け、2013年9月、「青少年をネット犯罪から守る県民集会」を開いた。親や中高生ら約700人が参加。「青少年を性犯罪から守るため、情報モラル教育に積極的に取り組む」などを宣言した。

 しかし、根本的な問題はネットではない。売買春は通信機器の発展と連動してきた歴史がある。1990年前後はテレホンクラブやツーショットダイヤル、2000年ごろからは携帯電話が普及し始め、出会い系の掲示板に書き込む形で広がっていった。警察は新たなツールが登場するたびに規制をかけているが、いたちごっこが続いている。

 変わらないのは、少女に売春をあっせんする男性と少女を買う男性の存在だ。売買春の根本的な問題の一つは、間違いなく男性側にある。

 

那覇市内で未明にたむろする若い男女に声を掛ける警官(写真と本文は関係ありません)

 

■男性側の意識

 業者はなぜ、少女に売春をあっせんするのか。事件後、30代の県内業者の男性にインタビューをしたところ(1)未成年は性体験や社会経験が少ないため、扱いやすい(2)中学生は男側のコンドーム使用の有無が判断しにくい(3)沖縄の子は目鼻立ちがはっきりしていて県外の客に人気(4)売春は少女たちの“花嫁修業”と考えている―などの背景が浮かび上がった。

 買う男性にも聞いた。当時30歳の男は、未成年の少女を扱う業者から届いた「女の子買わない?」とのメールをきっかけに買春を始めた。ソープより値段が手頃な上、少女が好みのタイプでない場合にはキャンセルもできる。「未成年の買春は犯罪なのか?」と聞いてくるほど罪の意識は薄かった。

 少女が大人に“商品”のように扱われている実態があるにもかかわらず、買春に関わる男たちの姿は、なかなか浮かび上がらない。世論から批判や非難の声もほとんど聞こえてこない。

 刑も軽い。児童買春・児童ポルノ禁止法は5年以下の懲役か300万円以下の罰金、沖縄県青少年保護育成条例は2年以下の懲役か100万円以下の罰金で済む。

 そんな男性たちに、少女たちは街頭でスカウトされ、SNSで紹介され、魔の手に絡め取られる。家族や友人関係の悩みに親身に耳を傾け、彼氏のように装い、“疑似恋愛”に持ち込む。出勤が続かない少女は「親や友達にバラす」と脅し、囲い込む。

 

■社会が問われている

 ブキッキオ氏は先の会見で、「(子どもの性被害の撲滅には)根源的な原因究明が必須であり、それは日本政府と沖縄県の共同の責任であると思っている」と指摘した。法、モラル、理性…これまでも問題視はされてはきたが、いかに遡上(そじょう)に載せられるのか、突き付けられている。

 さて、問題をはき違えて実施された「県民集会」。その責任者であり、教育庁ナンバー2を務めたこともある幹部が2014年、児童買春容疑で逮捕された。「18歳未満と知らなかった」という主張が認められれば、児童買春・児童ポルノ禁止法は適用されないため、結局、県青少年保護育成条例で起訴され、処分はわずか罰金50万円だった。

 ブキッキオ氏らの最終調査報告・勧告は2016年3月に国連人権理事会に提出される。少女たちは大人たちによって保護されるべき存在だが、売買春に関わる大人は身近にいる。彼らに対し、社会の監視の目が生まれる契機となれるのか、社会のあり方が今、問われている。

 

 


編集部より:沖縄タイムスより、2016年1月12日 15:15の記事を掲載致しました。他にも知られざるイシューに多様な視点からスポットを当てた記事を以下のリンクよりご覧になれます。
■沖縄タイムス 社説・オピニオン
http://www.okinawatimes.co.jp/cross/

 

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