新たな少子化対策の一手、「卵子バンク」で産みたい人が産める社会へ

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2016.03.30
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 今月28日、NPO法人「OD-NET : 卵子提供登録支援団体」は、同団体の運営する卵子バンクから3組目の卵子提供を行うことを明らかにした。同団体は、国内で初めての「卵子バンク」の運営をしており、早期閉経などで卵子がない女性と匿名で卵子提供を希望するドナーとのマッチングを行っている。

 

 現在不妊に悩むカップルは6組に1組とされ、およそ50万人が何らかの不妊治療を受けているとされている。2009年度出生した新生児の40人に1人が体外受精や顕微授精等(総称して生殖補助医療技術)によって生まれており、2009年までに合わせて24万人以上の子供が生殖補助医療技術よって生まれているとされている。世界的にみても治療によって生まれてくる子供の数は増えており2009年時点で500万人を超えているそうだ。

 

  生殖補助医療技術に罹る課題は山積している。第一に、法令が定められていないことだ。日本に生殖補助医療技術に関する法令はなく、1983年に日本産婦人科学会で制定された「体外受精は婚姻関係にある夫婦のみに認められる」という会告が公式見解とされていた。姉妹間での卵子提供を行ったことを事後報告した医師が、当学会から除名されるほどに厳しかったこの会告であったが、不妊に悩むカップルの増加に伴い、そのスタンスを変化させざるを得なくなった。

徐々に生殖補助医療技術を非配偶者間でも認められるよう活動する人々は増えてきた。この動きを受けて2003年、厚労省審議会は非配偶者間体外受精を容認する報告書を作成した。家族関係の複雑化を防ぐため「匿名の第三者」のみドナーとなることを認めた。また学会も新しい会告を出し、要望があれば、卵子提供者の情報を開示することを子供の権利として認めることとした。しかし未だルール整備は不完全なままである。

 

 ルールの整備は未だ終わっていない中、ドナーを求める声は高まる一方だ。そこで課題となってくるのが、ドナー不足だ。現段階で、国内で第三者の卵子提供者を探すことは困難であるため、身近にドナーがいないカップルは海外へ渡航し卵子提供を受けるそうだが、渡航費用を含めて数百万円以上かかることもあり、一部の人しかこの治療を受けられない現状がある。もっと多くの人が卵子提供を受けられるように発足したのが「OD-NET」である。

 

 現段階で、卵子提供にかかる治療費以外に、卵子提供によってドナーが報酬を受け取ることはないが、ドナー募集開始2日で100名集まったそうだ。同団体代表によると、多数が自身も不妊治療に苦しんでいた人だったという。

 この事業をドナー不足に悩まされず、ビジネスとして持続可能なモデルに転換していくために卵子提供を有償化するかどうかも今後の争点となるであろう。ドナーは卵子提供に際し、定期的な通院や副作用のリスクをとらなくてはならない。アメリカやスペイン等諸外国では既に有償化をすることでドナーの数を増やそうとしている。インドでは、卵子提供を有償化したことで、収入源として卵子提供を行う人が出てきた。倫理的に問題となるであろう収入源としての卵子提供は、卵子提供を受けられる回数や頻度に制限を設けるなどして対策をする必要が出てくると考えられる。

晩婚化が進み少子化が嘆かれる今、子供を産みたいと思う若い女性は貴重なのではないだろうか。そんな女性たちが子供を産むためには建設的な議論がなされた上で法整備が進むとともに、社会での認知度が高まりドナーとなり卵子を提供する人が増える必要がある。

 産める人が産む社会から子供を産みたい人が産む社会へと変わっていくことも少子化対策の一手となり得るのではないだろうか。

 

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Ridi

リディラバ メディア事業部

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