”グレーゾーン”の大人たち

軽度発達障害を抱えて生きる
  • 福祉
この記事の読了時間:約2分
2016.04.07
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 軽度の発達障害を抱えつつ、社会の中で生きていかなければならない大人たちがいる。他人との距離の取り方がわからない、計画性が低い、空気を読めない、環境への適応が難しい、注意力が低い、学習能力が低く、忘れっぽい−社会生活を円滑に送ることに小さな障害はあるが、IQ値が極端に低いなどの目立つ知的障害はない。国からの支援があり、周囲の理解もある分かりやすい「障害」をもつ人と、「健常者」の間の”グレーゾーン”に存在する人々。彼らは義務教育における特別支援や、厚生労働省の「療育手帳」の対象からは外れてしまうため、適切な支援を受けないまま、「普通の人」と同様の社会生活を営まなければならない。「ちょっと変わった人」である彼らは、当たり前のように「普通の人」ができることができない。そのため幼い頃から「なぜできないのか」という叱責を受けながら育ってきた人が多い。そのような周囲の環境は、「極端な自己イメージの低さ」、それに起因する「やる気の低さ」などの二次障害を引き起こす。彼らが苦労するのは教育時だけではない。就労後、彼らの障害は社会生活でさらなる他人との摩擦を引き起こす。例えば、単純なミスを繰り返し、強い叱責を受ける。職場の空気が読めず、周囲から爪弾きにされてしまう。これらの摩擦は、彼らに強いストレスをもたらし、中にはうつ状態に陥り、就労ができなくなる人も少なくない。

 文部科学省の調査によれば、小・中学校の通常学級に通う生徒の6.5%が、「軽度の発達障害の可能性がある」とされる、”グレーゾーン”の子供たちが存在する。現在では、そのような子供たちに対しては保育園・幼稚園の頃から適切な支援を行っていくことが重要であるとの考えから、様々な支援が行われている。だが、国による対策が行われる前に成人した”グレーゾーン”の大人たちの正確な数はわかっておらず、支援が進んでいないのが現状である。厚生労働省は、軽度の発達障害を抱える人の就労のための様々なガイドラインを制定しているが、実際には軽度の発達障害に対する理解はまだまだ進んでいないのが現状である。

 そのような障害を抱える大人たちを支援する団体はいくつかある。例えば、”necco”という団体だ。新宿にあるneccoカフェでは、カフェであると同時に、当事者研究会など様々なイベントも開催されており、軽度発達障害の当事者とその家族が集う場となっている。ここで情報交換を行い、障害との付き合い方を学んだり、当事者同士で経験を共有することにより、社会生活でのストレスを少しでも軽減しようとするのがneccoの目的である。

 近年では、「発達障害」をテーマとした漫画作品なども多く発刊され、「発達障害」は以前ほど耳慣れない言葉ではなくなってきた。だが、実際には、「はっきりとは目に見えない」軽度の発達障害への理解や、発達障害を抱える人々に対し、どのように支援を行えばよいのか、という知識はまだまだ広まっていないのが事実だ。障害とは、「健常者」か「障害者」のように、人間を二分する概念ではない。人にはそれぞれできることもあればできないこともあるように、白から黒の間でグラデーションのように広がる概念なのだ。「あの人はちょっと変わっているから」と爪弾きにすることなく、発達障害を抱えていても社会の中でストレスを感じずに活躍できるようにする周囲の環境。それが最も”グレーゾーン”の大人たちが求めているものだ。

 

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Ridi

リディラバ メディア事業部

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