オトコの妊活

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2016.04.20
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 オトコの精子が、ついにスマホでも手軽に検査できる時代になった。株式会社リクルートライフスタイルが、スマートフォンで自分の精子の濃度と運動率が簡単に測れるサービス『Seem(シーム)』の提供を開始する。4月末から東京都内・近郊の一部クリニック・薬局で期間限定の販売がスタートする。同キットはスマートフォン顕微鏡レンズが入っており、手元のスマホで検査することができる。

 Seemの使用方法は簡単だ。薬局でSeemキットを購入する。帰宅後、キットに付属の採取用カップで採精、精子をスマートフォン顕微鏡レンズの上に一滴垂らす。レンズをiPhoneにセットして、無料のSeemアプリで動画を撮影すると、その動画が自動解析され、精子の濃度と運動率を測ることができる。

 Seemキットの値段は5000円。これは全く高くない値段だ。不妊治療を医療期間でスタートする場合、初診で2万円、人工授精で5万円、体外受精を始めると80万円かかることもある。(ちなみに、妊娠検査薬1000円、女性用基礎体温計4000円。自動解析してくれて5000円は安いとも言える。)

 日本では、晩婚化・晩産化が進み、妊活を行うカップルが増加中だ。カップルの6組に1組が不妊に悩んでいるともされる。「妊活」には、「婚活」「デブ活」「朝活」と同じ「活」がついている。晩産化が進む中、「妊活」という言葉が示す通り、妊娠・出産は「自然に授かるもの」ではなく、「主体的に活動していくもの」になっているのだ。

 だが、「妊活」は女性のもの、というイメージはないだろうか。どう頑張っても妊娠しないオトコの「妊活」は、少しヘンな言葉ではないだろうか。

 しかし、WHOの調査によれば、不妊の原因の42%は男性にあると言われている。妊活を成功させるためには、男性の主体的な協力が欠かせない。ここで妊活に悩む男性・女性の声を拾ってみよう。

 男性の声。「排卵日セックスとか苦痛。」「自分に原因があるかもしれないけど、病院に行って検査するなんて、恥ずかしいからイヤ」「飲み会行きたいし、タバコも吸いたい」「なんか焦りすぎじゃない?」「めんどくさい」

 女性の声。「排卵日は月に一回しかない」「子供まだ?と言われると、自分が一人前ではないようで焦る」「妊娠にいいと言われるものを食べたり、生活習慣に気をつけたり、神頼みしたり…」「毎日基礎体温を測って、高温期が続いたと思ったのに、生理がきてしまったとき、とっても悲しい」

 「妊活」は女性だけのものではない。男性と女性がどちらも主体的に関わって初めて成立するものだ。だが、妊活を行っていく中、妊娠しないことに責任を覚え、強いストレスを感じる女性とは対照的に、男性が妊活に非主体的・非協力的で、カップルのすれ違いが起こるというのは、よくある話だ。

 Seemというサービスは、ただ単に精子をお手軽に検査できるサービスではない。医療機関に行くことをためらい、面倒臭がり、妊活から逃れようとするオトコたちの意識を変えるサービスである。5000円のキットと無料のアプリで、自分で簡単な検査ができる。この手軽さは、オトコたちの妊活への大きな心理的ハードルをぐっと引き下げ、妊活は自分もするものだ、という気付きを与え、彼らの行動を変えていく契機となるのではないだろうか。

 Seemをきっかけに、妊活はカップルの両方が行うもの、という意識が広まれば、妊活はもっと幸福なものになるのではないだろうか。妊娠が自然にやってくることではなく、「活」することになった今、少しでもストレスなく、幸福にそれを成功させることができるとすれば、それはとても素晴らしいことである。

 

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