スマホよりも軽い女性の命 -世界のレイプの中心地:コンゴ民主共和国-

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2016.06.21
Photo:http://www.photo-ac.com/main/detail/257995?title=Android%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B307 / (Alfred Weidinger) http://free-photos.gatag.net/2013/08/20/060000.html

 中部アフリカに位置するコンゴ民主共和国(以下、コンゴ民)。1996年に紛争が勃発して以降、コンゴ民東部は「世界のレイプの中心地」と呼ばれるほど性暴力が横行している。国連人口基金によると、1996年からこれまでに推定20万人以上の女性が性暴力の被害を受けたと言われている。これは、1日に約36人もの女性が被害にあっていることを意味する。

 

 コンゴ民東武でレイプ被害が拡大した背景の1つに、「紛争鉱物」を活動資金としている武装勢力の存在がある。「紛争鉱物」とは、紛争地域にある鉱山から掘り起こされる、武装勢力の資金源となる鉱山資源のことだ。コンゴ東部は鉱物資源の宝庫であり、豊富にとれる金、銀、タングステン、タンタルから生み出される資金が武装勢力の活動を支えている。このような武装勢力は、鉱山から住民を強制移動させるための手段として「レイプ」を組織的に行っているという。

 

 鉱山資源が豊富なコンゴ民東部では、市民の居住地に紛争鉱山が埋まっていることもあるという。武装勢力は紛争鉱山を独占したいがために、住民の強制移動や地域民の暮らしの崩壊を目的とした性暴力をふるうことがある。性暴力の被害は悲惨なものであり、被害にあった女性や少女たちは精神的・身体的に大きな傷を負っている。驚くことに、被害者の中には5歳の子供もいるという。

 

 このような武装勢力による被害は甚大であり、今もコンゴ民では多くの人が苦しめられているが、実はこの問題に、日本に住む私達も加担しているのである。武装勢力の資金源である「レアメタル」を購入しているのは、他でもない先進国の私たちなのだ。コンゴ民にはスマホをはじめとしている精密機器に使用される「タンタル」が大量に眠っており、その輸出を通して武装勢力は資金を得ている。つまり、先進国の紛争鉱物への需要が高まって流入すればするほど、武装勢力が勢いを増し、コンゴ民の住民が苦しむという構図があるのだ。

 

 コンゴ民に住む彼女らの人権を守るために、先進国でできる取り組みがある。一つ目は、紛争鉱物が使用された製品を規制することである。アメリカで2010年に成立した「ドット・フランク法」では、紛争鉱物の対策に関する規制が盛り込まれ、紛争鉱物の調査が企業に義務付けられた。しかし、グローバル化が進展する企業において、実際に原材料までさかのぼって紛争鉱物が使われているかどうか特定するのは困難だ。実際に、全体の7割の企業は自社製品に紛争鉱物が含まれているか否かを突き止めることはできず、施策の効果は限定的だったという。

 

 二つ目は、リサイクルの推進や都市鉱山の利用である。都市で大量に廃棄されるスマホや家電製品の中には、リサイクルできるレアメタルが眠っている。国内にある鉱物資源を再利用して紛争鉱物自体に対する需要を減らすことで、コンゴ民からの紛争鉱物の輸入を減退させ、武装勢力へ資金が渡らないようにすることができるのだ。


もちろん、私たちのスマホの画面の上では、コンゴ民で苦しむ彼女たちを見ることはない。しかし、私たちの手に届く製品がどんなストーリーを持って私たちのもとに届いているのか想像力を持って見てみることは大切だろう。私たちのポケットに潜む1台のスマホのために、不当に虐げられている命があることを忘れてはならない。

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