学生から広まる投票革命

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2016.06.29
Ook91 wakairikkouhosya tp v
Photo:https://www.pakutaso.com/20130720198post-3057.html

 若年投票率の低さが問題視されている。平成26年度の衆議院議員選挙では、60代の投票率が68.28%であるのに比べて、20代の投票率は32.58%であった[1]。更に、もともと少子化によって若年人口は他の年齢階層と比較して少ないこともある。有権者に占める高齢者の割合が高いため、投票を受ける政治家の視点に立つと、高齢層に向けた政策を立案した方がより多くの得票を期待できる。そのため、若者の意見が反映されにくく、高齢層が重視されやすい傾向がある。

 

 若年投票率の低さは、様々な悪影響を及ぼすといわれている。その一つが、近視眼的な政策決定がなされる傾向が強まってしまうということである。一般に、中長期的に見て将来メリットがある政策よりも、即効性がありわかりやすい政策の方が比較的支持を集めやすいといわれている。そして、高齢層が支持する政策は近い将来を見据えたものである場合が多い。将来の日本を生きる若者たちに向けた政策を行うことで、近視眼的な政策ではなく、日本を未来の成長国家へと押し上げる中長期的な政策を行うことができるのではないかという主張がある。

 

 もう一つは、組織票の比率が高まり、既得権益が守られるということがある。若年層は投票率が下がるということは、組織をバックに持っている政党や利益団体等出身の候補者にとって有利に働く結果となり、一部の組織の権益が重視される政治運営がなされるリスクが高まるということである。また、こうした特定組織で発言力を持っているのは、若者ではなく経験豊富な高齢者である。間接的に、前述のような近視眼的な政策決定がなされるリスクも高まることとなる。

 

2016年7月10日の参院選では、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられる。選挙権年齢の引き下げは、1945年に「25歳以上」から現行の「20歳以上」に引き下げられて以来、70年ぶりの出来事だ。この歴史的転換点を併せて、若年投票率向上のための様々な取り組みが「学生主導」で行われている。

 

福島市では、福島大学の学生グループが市の選挙管理委員会と大学に働きかけ「福大Voteプロジェクト」と名付けて福島大学に初めて期日前投票所を導入した。学生にとって身近な大学に投票所を設置することで、若年投票率の向上や政治に対する関心の喚起が期待されている。

 

学生が中心となって若者の政治参加に取り組むNPO法人「ドットジェイピー」も、期日前投票場の設置に取り組んでいる団体である。函館市では、ドットジェイピーの働きかけを受けて昨年4月に初めて期日前投票所を設置したという。今年は市内4大学に1日ずつ期日前投票所を設置する。

 

 学生によって運営されるNPO法人「僕らの一歩が日本を変える。」が行う票育事業もまた、若年層が中心となって推進されている活動の一つだ。票育とは、22歳以下の学生が中学校や高校の授業現場に赴いて行う政治教育を行う授業プログラムである。実施地域の選挙管理委員会や教育委員会などと連携して授業を実施する。

 

 このように、若年投票率の低さを是正するための様々なムーブメントが、問題の当事者とみなされている学生たちから起こっている。「若者目線」が取り入れられた投票率向上施策が実施されることで、より多くの若者たちに選挙や政治に対して関心を持ってもらえることが期待される。学生発の取り組みによって若年投票率が向上すれば、政治家も若者向けの施策を重視することになり、より若者の意見が反映された政治となる可能性が高まるのだ。

 

 

[1] 総務省「国政選挙の年代別投票率の推移について」(最終閲覧日:2016年6月28日)
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/

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