日本が壊すウユニ塩湖の絶景

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2016.07.05
Photo:http://www.photo-ac.com/main/detail/444874 / https://www.pakutaso.com/20160251041post-6923.html

 

 

 

 

 

by Travel-Picturehttps://www.flickr.com/photos/97761689@N02/16681888702/

 

 遥か地平線の彼方まで見通せる奇跡の絶景を演出するのは、一点の曇りもなく空を反射する広大な塩の大地。思わず見惚れてしまうこの写真が撮影された場所は、観光地として有名な、ご存じウユニ塩湖だ。

 

by Travel-Picture:https://www.flickr.com/photos/97761689@N02/16060508554/

 

 ウユニ塩湖は、南米ボリビア西部の町ウユニに存在する。ウユニ塩湖は標高3,700mの僻地にある、面積約1万1000㎡の塩が堆積した湖である。雨期になると湖にたまった水が鏡となって空を照らし、写真のような絶景を生み出す。近年人気の観光スポットとなっており、昨年だけでもなんと120万人もの観光客が訪れたという。旅行客を虜にするウユニ塩湖の奇跡のような絶景が、今消滅の危機に瀕している。

 

https://www.pakutaso.com/20160240034post-6821.html

 

 ひとたびウユニ塩湖から周囲に目を向けると、「ごみの楽園」という呼称が似合うほどに周囲に大量のごみが散乱している。観光客が持ち込んだ種々のごみが、塩湖の景観を損なってしまっている。更に、ごみ問題は現地住民の生活に暗い影を落としている。大量のごみが地下水に侵食した結果、地下水を利用する現地住民や家畜の健康被害につながっているという。

 

 ごみを適切に処分すれば済む話なのではと感じるかもしれないが、標高3,700mの僻地にあるという土地柄、ウユニの町には焼却場などのごみ処理施設は存在しない。そのため、観光客の大幅な増加に伴い1日あたり約120トン発生するようになったごみも、町の郊外に埋め立てて処理するしかない。しかし、地中で分解されないスーパーのレジ袋やお菓子の容器といったプラスチックごみは、ウユニの激しい直射日光による乾燥や高地特有の吹き荒れる風によって埋め立てたとしても再び地表に上がってきてしまい、風に煽られて周辺地域へ散乱してしまうのだ。

 

https://www.pakutaso.com/20160255041post-6925.html

 

 雨期には大量の日本人が観光のためウユニ塩湖を訪れ、ほぼ日本人観光客で埋め尽くされてしまうほどだという。もしこのままごみ被害が深刻化し、ウユニから塩湖の絶景が消えたとしたら、日本もその罪とは無縁ではない。

 

 そんな中、ウユニ塩湖のごみ問題を解決すべく、ある日本発のプロジェクトが起ち上がった。プロジェクトの名は「ウユニ塩湖環境保全プロジェクト」。2015年8月に設立された環境保全団体「Projecto YOSI(プロジェクト・ヨシ)」が推進する、ウユニ塩湖を持続可能な場所とするためにウユニ初の環境教育センターを立てようとする取り組みである。

 

 このプロジェクトは、ごみ問題を解決するアクションとして「ごみ問題の解決と環境教育」を掲げている。特徴的なのは、「現地主導・現地還元・環境保全」という3つの柱を持っていることだ。設立が決まっている環境教育センターでは、ごみ問題を解決しながら現地へ還元する、持続可能な循環型の仕組みの拠点となる施設である。

 

 プロジェクトの概要はこうだ。日本の企業が開発したプラスチックごみを石油に戻す装置をウユニに導入し、現地の人々の生活に還元する仕組みを作る。機械を動かすエネルギーは、日本企業が製造している太陽光パネルから得られた電力を用いる。その結果、ウユニ塩湖の環境保護と観光業が両立し、かつ現地住民たちにエネルギーが還元される仕組みが現地に定着するという寸法だ。クラウドファンディングで資金調達を試みた結果、2016年6月21日に資金調達が完了し、無事に事業のローンチが決まっている。

 

 しかし、立ち上げがうまくいったとしても事業が持続可能なモデルになるためには乗り越えなければならない課題もある。このプロジェクトはトップダウン型ではなく地域住民も一体となって行われるものであるため、現地住民たちの理解なしには成功しえない。事業の課題を解消するために、2つの施策が実施されている。

 

 1つ目が、環境教育プログラムの実施である。現地住民たちのゴミ問題に対する問題意識を喚起し、リサイクルが促進されるよう、2015年11月より現地小学校での教育を進めている。その結果、それまでリサイクルの概念も知らなかった子供たちが、自主的にごみを分別し持ってきてくれるようになったという。このように、小さくはあるが着実に実際に成果は上がっているという。この環境教育プログラムを、今後は教育機関でも同様に進めていく。2つ目が、現地法人との連携である。このプロジェクトは、ウユニの環境省・市役所・大学と連携が為されており、各アクターが一体となって取り組んでいく締結が交わされている。また、テレビなどのメディアを使ったPRも実施され、現地での認知度も上昇しつつあり、見通しは明るい。

 

 ウユニ塩湖を、持続可能な観光地「エコビレッジ・ウユニ」へ。このプロジェクトは、ウユニ塩湖の人々が環境を保全しながら観光を促進する、そんな将来像を見据えている。このプロジェクトが目指すのは、環境と観光を両立したウユニの事業モデルがボリビア初のモデルケースとなり、あらゆる観光地の持続可能な活性化に繋がる未来である。

 

http://www.photo-ac.com/main/detail/409300

 

 この美しい景色を、10年後、20年後の未来にも見ることができるだろうか。将来、活気あふれる観光客と現地民、そして変わらず美しい景観を保ったウユニ塩湖が私たちを迎えてくれることを願ってやまない。

 

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Ridi

リディラバ メディア事業部

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