小笠原諸島のかたつむりが危ない

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2016.07.09
          2016 07 09 1.13.09
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 日本の誇るべき世界自然遺産である東京都 小笠原諸島。今年で登録から5周年を迎えたこの島々は危機を迎えている。世界遺産登録の鍵となった小笠原諸島の固有種であるかたつむりたちが絶滅の危機に晒されているのだ。

 

 小笠原諸島は1度も大陸と陸続きとなったことがないために、小笠原諸島に生息する生き物たちは独自の進化を遂げており、数多くの研究者たちが興味を示している。ダーウィンが着目した、独自の進化を遂げたフィンチで有名な島の名前になぞらえて「東洋のガラパゴス」と言われるほど、貴重な生き物が多く生息する。特にかたつむりは100種以上が存在し、その約95%が小笠原諸島固有種だというから驚きだ。

 

 貴重な財産であるかたつむりたちが絶滅の危機に晒されているのはなぜか。

 

その原因を作ってしまったのは私達、人間である。小笠原諸島にはじめて人間が立ち入った1830年以来、外来種は多く持ち込まれてしまった。それらの外来生物達によって小笠原諸島の中で築かれていた生態系は崩れ去り、繁殖力の強い外来種によって小笠原諸島の固有種たちは絶滅の危機に瀕しているのが現状だ。このまま固有種の数が減少し続けると、世界遺産の認定を行うユネスコから危機遺産(世界遺産としての価値が大幅に下がった遺産のこと)に指定され、完全に価値が損なわれたと判断された場合には世界遺産としての認定を剥奪されてしまう。世界が認める程に貴重なこの財産を私達は失って良いのだろうか。

 

 外来種による日本固有種の捕食被害は他地域でも甚大だ。沖縄県奄美大島では、毒蛇駆除のために持ち込まれたマングース大量発生し、奄美大島の固有種であるアマミノクロウサギやアマミトゲネズミを捕食し絶滅の危機に追い込んだ。このまま固有種を絶滅させる訳にはいかないと環境省と沖縄県は立ち上がった。マングース駆除のエキスパート集団「マングースバスターズ」を結成したのだ。マングースをわなと探知犬によって徹底的に捕獲するだけでなく、地元住民からマングースの目撃情報を集めて最後の1匹まで捕獲しようというものだ。マングースバスターズと地元住民の努力の甲斐もあり、マングースの数は減少し固有種の数も回復してきている。世界初の大きい島での外来種撲滅の偉業達成に向けてマングースバスターズは今日も奮闘している。

 

 小笠原諸島においても、かたつむりの天敵である外来種クマネズミを殺鼠剤によって駆除することを何度か試みたものの、数ヶ月〜数年でまた繁殖をはじめ、全滅には至らなかった。

 

 この厄介なねずみの駆除に成功した島がある。それは、本家「ガラパゴス諸島」のピンソン島とラビダ島である。ゾウガメで有名なピンソン島では爆発的に繁殖したネズミによって卵が食べられてしまい、ゾウガメが子孫を残せない状況になっていたそうだ。様々な研究所や大学、財団が力を合わせて行った一大プロジェクトは成功し今ではゾウガメたちが自ら繁殖ができるようになった。同じガラパゴス諸島に位置するラビダ島もネズミ駆除に成功した。ラビタ島では小笠原諸島と同じ陸生巻貝類の固有種が存在したがネズミによって絶滅したとされていた。他の種をも脅かすネズミを駆除した結果、絶滅したとされていたかたつむりが繁殖を始めたそうだ。ヘリコプターで殺鼠剤を全土に巻き、ネズミの全滅を試みる間に専門の保護施設でゾウガメの保護と繁殖作業を行っていたそうだ。

 

 他の地域で成功をしているからには諦めるのはまだ早い。小笠原諸島でも国や研究機関と連携して、絶滅が危惧されている動物の保護区をつくったり、外来哺乳類の捕獲を行っている。また環境省のプロジェクトが小笠原諸島より規模の小さい島ではネズミの根絶にほぼ成功したそうで、そういった動きからも吸収できる点は数多くあるだろう。


 

 日本の宝「小笠原諸島」の挑戦はまだ始まったばかりである。

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Ridi

リディラバ メディア事業部

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