現代の子どもたちは小学生になると、ゴミを可能な限り減らすために、リユース(再使用)、リデュース(廃棄物の発生抑制)、リサイクル(再資源化)と呼ばれる3Rを教わる。ゴミを減らすための環境行動を表す3Rだが、これとは別の活動が日本で行われていることをご存知だろうか。
徳島県上勝町では「ゼロ・ウェイスト運動」が行われている。ゼロ・ウェイストという考え方はイギリスで誕生した。ゼロ・ウェイストでは、ゴミを出さないためにはどのような生活を私たちが送るべきか考える。ゼロ・ウェイスト運動の目標は3つだ。有害物質を排出しない、大気汚染を生まない、資源を無駄にしないという点だ。上勝町では、消費者・行政や生産者が一体となって、廃棄物を可能な限り減らそうとしている。例えば、リサイクルの分別を34種類に分け、再利用できるようにする、住民がゴミステーションにゴミを持ち込む、ほとんどの家庭がコンポストや電動式生ゴミ処理機を所持しており、生ゴミを処理することができるなどを実践している。
なぜ上勝町でゼロ・ウェイストという考え方が広まったのか。かつて上勝町では野焼きをして、ゴミを処分していた。野焼きとは、焼却施設以外でゴミを燃やすことだ。しかし、かつて行われていた野焼きは、徳島県からの指導により続けることが難しくなる。上勝町は新しく焼却炉を揃える必要があったが、購入する予算がなかった。上勝町はこうした課題を解決するため、リサイクル事業者を探した。そのうち、ゴミの分別が進み、34種類に及んだ。そこで住民が自らゴミを捨てに行く「ゴミステーション」を建設する。このような取り組みが上勝町の住民に浸透し、2003年「ゼロ・ウェイスト宣言」が行われた。
ゼロ・ウェイスト運動の目標を達成するためにはゴミを社会から減らす努力をしなければならない。この理想状態を達成するためには、3Rが大切なものとなる。ゼロ・ウェイスト運動の中に3Rの内容が含まれるからだ。3Rを意識した生活を続ける結果、ゼロ・ウェイスト運動に帰結するといえるだろう。