都市の未来を変える、魔法のレシピ。

モクチン企画の挑戦
  • まちづくり
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2016.08.20
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Photo:https://www.pakutaso.com/20160424102post-7554.html

 全国で、空家問題が深刻だ。空家は全国で約820万戸ある。空家率は全国で13.5%で、約8軒のうち1軒が空家になっている計算だ。(総務省統計局 平成25住宅・土地統計調査 特別集計より)

 

 空家といってもいろいろだ。所有者が常時住んではいないが使っているもの、賃貸用・売却用物件だが借り手・買い手が見つからないものなど。その中でも、より対処が難しいのが、使用されているかされていないのか不明のまま放置されている空家である。このような物件は、所有者が既に亡くなっており、解体や修繕が容易に出来ない場合も多い。

 

 また、老朽化の進んだ集合住宅でも、空家問題を解決するのは難しい。集合住宅においては、部屋ごとに所有者が異なっている場合もあり、修繕のための意思決定や、修繕費用の負担問題を解決するのが難しくなるためである。

 

 現行の法律では、家屋のない土地は、家屋のある土地より固定資産税が最大で4.5倍も高い。そのため、空家となっていても、経済的な事情で解体されず、そのまま放置されるケースが多い。


https://www.pakutaso.com/20160428109post-7641.html より

 

 では、住人のいなくなった空家を他の人に貸し出せればいいのだが、それも容易ではない。先ほども述べたように所有者が不明となっている場合もある。空家を借りたい人がいても、貸し手となる所有者がわからなければ、貸し出すことはできない。本来ならば活用できる空家も、そうなれば放置するしかない。

 こうして空家は放置され、どんどん老朽化が進んでいく。老朽化が進めば、人が住むことはさらに難しくなる。人が住めない空家が増えれば、その地域での住宅地は必然的に少なくなる。もしその土地に越してきたいという人がいても、住宅がなければ越してくることは出来ない。引っ越しを諦める人も多いだろう。その地域に越してくる人が少なくなれば、空家をわざわざ人が住めるようにするメリットはない。こうして空家は放置されつづける。

 

 老朽化が進んだ空家は、防災・防犯、また景観などの点で周辺の環境に悪影響を及ぼす。空家問題は根が深く、深刻だ。

 

 空家問題は地方の問題として取り上げられることが多いが、東京の木造賃貸住宅も、この問題を抱えている。60年代から70年代にかけて建てられた木造の賃貸住宅は、なお18万戸存在しているという。これらの賃貸住宅は収益率も低く、新たに住人を呼び込むことが難しい。

 

 こうした木造賃貸住宅は、土地の記憶を内包している。所有者も諦めて放置しているような物件を、住宅を壊さずに簡単なリノベーションを施すことで、新たな住人を呼び込めるような方法はないだろうか、そして、地域の歴史を受け継いでいけないか。そう考えている所有者や地域住民は多いだろう。

 

 そんな魔法のようなことやろうとしているのが、「モクチン計画」である。この団体は、木造賃貸住宅を簡単にリノベーションできる様々な「レシピ」を考案し、それを組み合わせて、古くて誰も住みたがらない住宅を生まれ変わらせる。

 

 レシピには様々なものがある。たとえば、「チーム銀色」(小さなパーツ類をメタリック系のもので揃える)「かゆいところに棚」(あると便利なところに棚を設置)「レフ砂利」(外構に白い砂利を敷き詰め、反射光を照明として使用)など。モクチン企画は、ユニークな名前がついたリノベーションアイデアを多数用意している。有料の会員登録をすれば、リノベーションアイデアのデータベースを利用できたり、リノベーションの相談ができる「モクチン相談室」を利用できたりする。

 

 土地の記憶をもつ家屋が、簡単なリノベーションによって生まれ変わり、また新たな住人が住むようになる。モクチン企画が提供するのは、そんな「魔法のレシピ」だ。


http://www.fphoto.info/_src/sc9018/KK-032.JPG
 

 空家問題を解決するためのサービスは現在、所有者と借りたい人をつなぐマッチングサービスに重点が置かれている。だが、モクチン企画のような、老朽化した空家を再び人が住めるようにするリノベーションサービスも、問題解決には不可欠だ。モクチン企画のサービスはリノベーションへのハードルが下げ、かつて空家だった物件を魅力的なものに変える。そうすれば、マッチングサービスの間口もより広がるだろう。彼らのレシピによって、都市の未来が変わる日は近い。

 

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Ridi

リディラバ メディア事業部

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