地方行政の行く末
埼玉県秩父市に存在する二瀬ダム。ダムやその後ろのダム湖は付近のものと比較して決して大きくはないが、40メートルもの水位差をつけることで貯水量を稼ぎ、下流の洪水調節、農業用水分配、水力発電という重要な役割を担っている。通常ダムは寿命を100年として設計され、二瀬ダムも例外ではない。しかし、建設から50年が経過した二瀬ダムはその寿命の1割しか残していないという。それはどういうことなのだろうか?
ダムは川の上流から流れてくる水をためる建造物である。ダム本体はきわめて頑丈な構造を持つため1000年以上壊れないといわれる。しかし、ダムには水とともに多くの土砂が流れ込むため、そのままではダムの貯水能力は減ってゆく。
貯水能力が計画値を下回るとダムはその役割を十分に果たせなくなるため、本来ダムは要求される貯水量に加えて100年間でたまる土砂の分(計画堆砂量)だけ大きく造られる。そして100年分の土砂がたまったダムは計画上の寿命を迎えることとなる。
二瀬ダムはその土砂堆積量、つまり堆砂量が建設から50年ですでに90年分以上たまっており、過去のデータから推測すると1回の台風で計画堆砂量を超える可能性もある。
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